誰かが誰かを

しばらく連絡がとれない友人がいる。
メールも携帯電話も繋がらない。彼は今求職中。
ワーキングホリデーで海外から2年ぶりに日本に帰還し
3月から地道に就職活動をはじめているらしい。
しかし、英語を喋れるという資格だけではなかなか日本での就職は厳しいらしく酷く凹んでいるらしい。
おまけに今年の秋には海外で知合った中国人と結婚をする予定だとか。
なのにその彼女とも今はすれ違いの時期が多いというから
いわゆる精神的にどん底状態ってやつ。

昼過ぎ。
奴から電話があった。就職が決まったという。
彼が望むような外資系の会社には入れなかったらしいが
とりあえず職が決まったということで、奴もオレも一安心。
何度も電話かけてたからオレには報告をしてくれたという。
笑いながら申し訳なさそうに謝った。
誰とも話たくない時期はあるから気にすんなよ！
と言い、今度飲む約束をして電話を切った。

夕方。
前の会社の同期が家電に電話をしてきた。
オレがメールの返信も携帯の着信にもでなかった相手だ。
今まで元同期からの連絡に応対しなかったのは、
そいつの原因50％。オレの原因50％といったところ。
そのことには全く気付いていなかったみたいだけど、
なんどもメールをくれて、なんども携帯に着信をいれくれて
それでも何の反応も返さなかった俺に
家電までかけてくれた。
本当の理由は分らないけれど、ただそれだけで
もう全部チャラにしようと思った。
そしてとりあえず謝っておいた。
誰かが誰かを思っている。
どんなに人が嫌になったり、人生が辛く感じても
その輪の中から外れてはいけないと思った。
家でじっとしてると底冷えがする、そんな5月の日曜日だった。